私は副社長の玩具vol.2

副社長との面接はあっさりしてて、
一通り志望動機や基本的な質問が終わると、私が大好きなサッカーの話題で盛り上がった。
どうやら副社長もサッカー観戦が趣味らしく、その話ばかりして面接は終わった。

こんな感じの面接は初めてだったけど、見事に内定をいただきそのまま入社。

入社して配属された先は広報だった。
職場の環境はよく楽しく仕事もできてあっという間に夏休みの長期休暇に。
夏休みもあっという間にあと二日となり、その夜に都内に戻った。
それまでしょっちゅう行ってたサッカー観戦も社会人になってからはなかなか行けず、
せっかくの夏休みだし、久しぶりに試合を見に行く事に。

一緒に行った相手は同じ会社の3つ上の男の先輩。
私の教育係をしてくれた先輩とは普段から仕事帰りに飲みに行くくらいの仲になり、
先輩は私を妹のように可愛がってくれたし、特別な関係もなくこの日もサッカー観戦に私が誘った。
「お前夏休みまで俺と一緒でいいのか?」
「誰もいないからです」
「仕方なく俺?」
「まあ、そうなりますね」
「お前少しは俺に気を使え」

先輩と一緒にいても気を使わずに済んだし、楽しい時間を過ごせる関係だった。

「じゃあジュースでも買ってきますね」

ジュースを買いに行って戻ると先輩は誰かと話をしてた。
私が席に戻るとその人がこちらを向いて挨拶してきた。
私は誰だかわからず一応会釈だけしといた。
「おい!お前ちゃんと挨拶しろよ」
「え?知り合いですか?」
「はぁ?副社長だろ」
「え?」
そう言われれば、
採用試験と入社後に数回しか見かけたことがなく、しかもいつもスーツ姿ばかり。
今日の副社長は私服姿で、
まさか目の前にいる人が副社長だとは分からなかった。
「お前いいから挨拶しろよ」
「初めまして、入社1年目で広報にいる安西浩美です」
「初めましてじゃないけど、覚えてないかな?」
「あ!はい。面接で・・・」
「そう。僕は君と面接でサッカーの話をしたから覚えていたよ」
「副社長もサッカー観戦するって言ってましたね。今日は誰といらっしゃったんですか?」
「妻とだよ。たまたま岸を見かけてね」
「副社長は俺の大学の先輩で同じサッカー部なんだ」
「じゃあ先輩はコネ入社ですね」
「おい!ちゃんと採用試験受けたよ俺は」
「安西さん、こいつが教育係じゃ厳しいだろ。いじめられたら俺に言いに来てね」
「副社長、こいつは厳しいくらいがちょうどなんです」
「じゃあ、妻が待っているからまたな」